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第3章 先願主義(特許の要件3)と国内優先権出願

秀才君、カレン「こんにちは、また続きをお願いします。」

老先生「前回は、特許となる発明、新規性そして進歩性まで話したな。じゃ、今日は先願主義からじ     ゃ。パソコンで『せんがん』と打つと、最初に『洗顔』が出てくるが、ここでは顔を洗うわけでは
     ない。『先願』は、先に出された特許出願という意味で、同じ発明についての出願である場合
      は、一番最初に出願した者が特許を受けることができるという主義じゃ。この場合、いつ発
     明したかは関係ないんじゃ。だから、早く発明したとしても、もたもたしていて誰かに先に出願
     されてしまうと、負けてしまうんだな。もったいぶっていてもしょうがない。発明としてある程度
     まとまったら早く出願するに越したことはないんじゃ。」

秀才君「よくわかりました。でも、僕の野菜皮むき機もそうだったんですが、最初これで完璧と思って
     いたら、後からどんどん改良点が出てきたんですが、こういう場合、出願後に発明の内容を追
     加したり変更したりすることができるのですか。」

老先生「グッドクイッスチョンじゃ!先にそういう質問をしてくれると、後の説明がしやすいんだな。
     じゃ、若先生、その点について説明してあげなさい。」

若先生「はい。この点については、まず、現在の実務では、出願時に願書に添付した明細書または
     図面に記載されていない事項を後から追加したり、記載事項を変更したり、あるいは、場合
     によっては記載事項を削除したりすることができないことを理解してください。
     このように内容を補充・訂正することを補正といいますが、補正がなぜこんなに厳しいのかと
     いうと、それは先願主義を採用しているからなのです。つまり、補正が許されると、その補正
     後の内容で出願されたものとみなされるんだけど、もし、その出願後であって、その補正前に
     誰かがその補正後の内容について出願していたとしたらどうなると思う。」

秀才君「補正後の内容で出願されたものとみなされるんでしたら、先願主義からすると、その人の
     出願は後願となって特許を受けられないことになるのですか?」

カレン「それじゃその誰かさんはかわいそう。」

若先生「そうだろ。だから、補正をきびしく制限して、そのような不都合が起きないようにしているので     す。だけど、秀才君が言ったように、機械なんてものは最初から完璧なものはほとんどないか
     ら、後から改良したり、変更したりすることがどうしても出てくる。その場合、その改良・変更
     点について権利主張したいのであれば、また別に特許出願しなければならないわけですが、
     それは経費などの点で出願人にとって酷となります。
     そこで、この点を考慮して、補正をきびしくする半面、出願人を保護する制度が設けられたの
     です。それが国内優先出願制度なんです。」

カレン「何を優先してくれるの?」

若先生「それはですね、

つづく

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